学問は楽しい

 勉強ができなくても生きてはいけます。でも、学問は私たちの生活の至る所に潜んでいます。

 例えば車のスピードメータはその瞬間の車の速度を表していますね。これは微分。高校で教わります。

 相対性理論も身近です。車のGPSにはこの理論が応用されています。

 相対性理論の生みの親アルバート・アインシュタインは「光電効果」でノーベル物理学賞を受賞しています。これはコピー機・レーザープリンター、一昔前のビデオカメラに応用されています。

 高校で学ぶ三角関数。2000年以上前にエラトステネスは井戸に差し込む日の光を元に三角関数を使い地球の直径を求めたのです。三角関数は未だに星のとの距離を測るのに使われています。

 500年ほど前、イタリアのボンベリ・ラファエルは虚数を定義しました。二乗すると-1になるというものです。当時は役に立たないものだと思われていましたが、現在の数学物理には欠かせないものとなっています。虚数がなければ立体的に物の振動をとらえられないのです。

 人類は数を数えることからはじめて、長い時間をかけて数学を発展させてきました。算数、数学を勉強するということは、人類の歴史を数学という側面から学んでいるということなのです。中学校まで無料で人類の大いなる足跡をたどるための基礎を教えてもらえるのです。何ともありがたいことだと思います。

 それに、頭は使うためにあります。問題を解き解法を理解する。スポーツと一緒で使えばつかうほど思考力は広がっていくのです。人類の大いなる足跡を知る。頭を使う。これらは人類に許された特権です。

 できなくても、知らなくても生きていけます。でも、折角、人間に生まれたのだったらこの特権を享受したいし、させたいと思うのです。

 中学校数学は、人類の偉大なる足跡を知るための基礎。高校数学は入り口です。もちろん楽しいことばかりではありません。でも、一緒に勉強してみませんか。学問は楽しいのですから。

東慎一郎